邦楽史上最高傑作は何でしょうか。英語圏で選ばれる日本の名盤ランキングとは別に、日本人が選ぶ日本の名盤ランキングをご紹介します。
このような企画は多数ありますが、どのランキングもユーザー層による偏りがあり、その顔触れはさまざまです。
そこで、邦楽の名盤ランキングで検索上位に現れた複数の名盤ランキング(音楽誌、音楽評論家、音楽コミュニティサイト、レコード会社サイトなど)にポイントを付け、トータルポイントで TOP10 のランキングを作成してみました(Best Ever Albums と同様の集計方法です)。
結果のランキングは以下のとおりです。
10位 サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(1974)
海外で活躍していたバンドの名盤です。ビートルズやピンク・フロイドを手掛けていたクリス・トーマスがプロデュースしています。
9位 コーネリアス『FANTASMA』(1997)
世界的に人気の高い小山田圭吾の名盤です。名盤として『Point』やフリッパーズ・ギターの作品を推す名盤リストも多々見つかりました。
トラック3「New Music Machine」
追記:コーネリアスは東京オリンピックで有名になり認知した方もいらっしゃると思いますが、この件に関しては以下の検証本やそのレビューコメントもチェックしていただければと思います。
8位 シュガー・ベイブ『SONGS』(1975)
山下達郎や大貫妙子らが在籍していたインディーズ・バンドの唯一のアルバムで、大瀧詠一が共同プロデュースしています。当時は売れなかったそうですが、再評価されています。
7位 ゆらゆら帝国『空洞です』(2007)
本作で「完全に出来上がってしまった」ことが原因で解散したという名盤です。最近のロックの名盤ランキングでは上位に挙がることの多い作品です。表題曲は小泉今日子もカバーしている名曲です。
ラストを飾る名曲「空洞です」
なお、このランキングでは『空洞です』がゆらゆら帝国のベストのようですが、ゆらゆら帝国のファンが選ぶベスト・アルバムは別の作品である疑いがあります。そこで当サイトとしても次のページでアンケートを募っていますので、よろしければご参加ください。
6位 イエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(1979)
細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の音楽グループ YMO の 2nd アルバムです。
トラック2「ライディーン」
5位 大瀧詠一『A LONG VACATION』(1981)
多くの CM で採用されている「君は天然色」(YouTube)で有名なロングセラーの名盤です。大瀧詠一は TOP10 のうち 3 作品に参加しています。「はっぴいえんど」でドラムを叩いていた松本隆の詞も秀逸です。
1曲目「君は天然色」
4位 荒井由美『ひこうき雲』(1971)
ユーミン(松任谷由実)の 1st アルバムです。ジブリの映画『風立ちぬ』の主題歌となった表題曲以外にも名曲が並んでいます。細野晴臣がベース、鈴木茂がギターを弾いており、参加ミュージシャンも豪華です。
「ひこうき雲」はとにかく名曲です。
3位 THE BLUE HEARTS『THE BLUE HEARTS』(1987)
ザ・ブルー・ハーツの 1st アルバムにして日本のパンク・ロックの名盤です。「リンダリンダ」で有名です。
2位 フィッシュマンズ『空中キャンプ』(1996)
音楽コミュニティで注目されて世界的にコアなファンを増やし続けているフィッシュマンズ(別記事あり)の名盤です。海外では『LONG SEASON』やライブ・アルバムの人気が絶大ですが、日本では「ナイトクルージング」を含むこのアルバムが圧倒的に高い人気を集めています。
名曲「ナイトクルージング」
1位 はっぴいえんど『風街ろまん』(1971)
音楽ファンにはおなじみの、大瀧詠一、細野晴臣、松本隆、鈴木茂らのバンド「はっぴいえんど」による名盤です。大瀧詠一作曲のトラック#1「抱きしめたい」(YouTube)はイントロから感嘆させられます。映画『ロスト・イン・トランスレーション』で使われて海外でも人気の高い細野晴臣作曲の「風をあつめて」(YouTube)や、鈴木茂作曲の「花いちもんめ」も、どの曲も才能が光ります。
「風をあつめて」が私は一番好きな曲です。
その他の邦楽名盤
今回の TOP10 にはギリギリ入らなかったものの、名盤ランキングの上位によく挙げられていた作品は以下のとおりです(順不同)。
RCサクセション『楽しい夕に』『ラプソディー』『COVERS』
ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』『ローザ・ルクセンブルグII』
岡村靖幸『早熟』『家庭教師』
細野晴臣『HOSONO HOUSE』『泰安洋行』
これらのアーティスト名は上位によく挙がるものの、どれがベストかで票が分かれていました。
統一されていれば上位に食い込んだ可能性があります。
そのほかによく挙がっていた名盤はこんな感じです(順不同)。
椎名林檎『無罪モラトリアム』
宇多田ヒカル『First Love』
村八分『ライブ』
アナーキー『アナーキー』
ジャックス『ジャックスの世界』
小沢健二『LIFE』
井上陽水『氷の世界』
山下達郎『SPACY』
X Japan『Jealousy』
CAROL『燃えつきる~ラスト・ライヴ』
これらの邦楽の名盤リスト・ランキングは、世界から見た日本の名盤と比べると興味深いものがあります。
まだチェックしていない方は、以下もご覧ください。