世界で評価される日本の名盤ランキングをまとめていたら、フィッシュマンズの世界的評価がますます高まっていることに気づきました。
世界の史上最高の名盤ランキングの元データである Best Ever Albums でも、『Long Season』(1996)が日本のアーティストで最高の327位、最後のライブを収めた『98.12.28 男達の別れ』(1999)が354位と上位に食い込んでいます。
英語の Fishmans Wiki まで作成されているほどで、その人気の広がりは日本以上かもしれません。
この記事では、フィッシュマンズがどのようにして世界で人気を獲得し、どう評価されているのかを紹介したいと思います。
Wikipediaでのフィッシュマンズの説明より
フィッシュマンズの英語版 Wikipedia は日本語版以上に長文で細かく歴史が紹介されています。
これによると、オンラインのミュージック・コミュニティー、掲示板などで注目されたことがきっかけで徐々にカルト的な人気を誇るようになっていったようです。
『The Japan Times』誌の2019年の記事(有料)でも取り上げられ、そこでは、『空中キャンプ』と『Long Season』は “are now undisputed landmarks in the Japanese rock canon”(拙訳:今や日本のロック界において議論の余地もないほどのランドマーク的作品である)とまで書かれています。
2011 年の Fishmans+ というプロジェクト(作品:『A Piece of Future』)では、世界的な評価も高いコーネリアスや坂本龍一、石野卓球らがかかわったこともあり、世界での認知に一役買ったことでしょう。
2018年には Spotify、iTunes、YouTube などでフィッシュマンズのすべての楽曲が無料ストリーミングできるようになり、これを機に北米やヨーロッパを中心にファンが増えたことが記述されています。
YouTubeのコメントより
YouTube の『Long Season』の動画には以下のようなコメントがついています(拙訳、抜粋)。
このアルバムにたどり着くことができる時代に生まれてよかった
素晴らしいアルバム。でも聴くたびにトイレに行きたくなる
人生で最も短く感じる35分
最後の5分間は音楽史上最高のカタルシスの形
音楽の最高の到達点の一つ
『98.12.28 男達の別れ』の動画のコメントはこんな感じです。
あまりの素晴らしさに感動して泣いた。完ぺきな曲。
史上最高のライブが、日本の無名バンドのものだったというのは、ちょっと面白い
暗闇から救い出し、生きていてよかったと思わせてくれる、数少ないレコードの一つ。
これらのコメントをみると、ツボは少し異なるかもしれませんが、日本のファンが感じるのと同じような感覚でフィッシュマンズの素晴らしさが理解されているようです。
Amazon.com より
『Long Season』の米国 Amazon のレビューを見ると、ビートルズ、ピンク・フロイド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやピクシーズの名盤に肩を並べる作品との声もあります。
日本のファンのコメントでレディオヘッドに引けを取らないという評価をどこかで見た記憶がありますが、海外の人にとっても本当にそのレベルで受け止められているようです。
また、最後のライブを収めた『98.12.28 男達の別れ』は、その後に聴くべきベスト・アルバム的存在とみられているようです。
他には、Rate Your Music という海外サイト(こちら)でオールタイムのベスト・ライブ・アルバムと評されていたことでフィッシュマンズを知ったというコメントもありました。
調べてみると、こちらのサイトではベスト・ライブ・アルバム(2位はボブ・ディランの伝説のライブ・アルバム…)としてだけでなく、オールタイムの名盤アルバム・ランキングの 17 位としても『98.12.28 男達の別れ』が位置付けられていました!
Rate Your Music は北米、英国、西欧などを中心に 2020 年時点で 66 万人以上のユーザーを抱える人気の音楽コミュニティであり、ここでフィッシュマンズに関心を持つ人は少なくないでしょう。
それにしてもスゴい高評価です。今後もこうしてファンを拡大していくに違いありません。
ちなみに Amazon の統計によるこのアルバムが好きな人へのお勧めとしては、以下のバンドのアルバムが挙げられていました。
レディオヘッド、ビョーク、Nujabes、ポーティスヘッド、Neutral Milk Hotel、My Bloody Valentine
フィッシュマンズの音楽は唯一無二ですが、たしかにこうしたバンドの名盤とも少し通じるものがあります。
これだけ世界で評価されているフィッシュマンズ。もし日本人でまだ聴いたことがないという方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
当時の日本で売れなかったように一般の J-POP を好む層に受ける音楽ではありませんが、これまで体験したことのない、心を奪われる不思議な音楽体験が得られるかもしれません。
こちらのライブ・アルバムは入手しにくくなっていますが、ストリーミングやダウンロードなら聴くことができます。
DVD は入手可能です。