日本での知名度はそれほどですが、マッドヴィラン(Madvillain)というHIPHOPデュオによる2004年の作品『MADVILLAINY』が、歴史に残る名盤として世界的に評価を高めています。
・ラップ/ヒップホップ史上最高の名盤ランキング TOP 12
音楽評価サイトRateYourMusicでは、全時代・全ジャンルのオールタイム・ベスト・アルバムで 14 位に位置しているほどです。
・もう一つのオールタイム名盤ランキングTOP25(RYMベース)
名盤で突如放たれるヨガフレイム
最近はこのアルバムばかり聞いているのですが、レビューなどを見ていると、この作品ではゲーム音楽までもがサンプリング元として使われているとのこと。
私はゲームにあまり詳しくないので、どこで何の音が使われているのかはわからないままだろうと思っていたところ、何十回と聴いたところでようやく、それがダルシムの「ヨガフレイム」であることに気づきました!
あの伝説的格闘ゲーム、ストリートファイターII(スト2)のダルシムの必殺技です。
この曲はインストゥルメンタル(ラップなのに!)で、不気味な笑い声が多用されている1分未満の曲なのですが、開始9秒あたりから「ヨガフレイム」が連続で炸裂しています!
アルバムの雰囲気に上手く溶け込んでいてなかなか気づきませんでしたが、聴けば聴くほど、「ヨガフレイム」がカッコよく決まっています。
さらに注意すると、不気味な笑い声と思っていた音が、チュンリー(春麗)の「ハッハッハッハッハッハ ヤッター!」であることもわかりました(これも2回出現)。
ちなみにこの曲名は、「Do Not Fire!」。
ふつうに訳すと「(銃を)撃たないで!」という物騒な雰囲気のタイトルですが、「ヨガフレーム」が使われていることを考えると、「ヨガフレームを吹かないで!」という意味としか思えず、おかしくなってしまいます。
その後にチュンリーの勝利後の声が聞こえてくることから、スピードの遅いダルシムは、苦手とする素早いチュンリーに負けてしまったのでしょう。
大物アーティストはヨガフレイムがお好き
なお、調べてみると(参考)、ヨガフレイムはヒップホップ界で大人気なようで、その後も数々の有名ラッパーに使用されていることがわかりました。
グラミー賞を受賞したラッパーであるLupe Fiasco(ルーペ・フィアスコ)の2009年の曲「Yoga Flame」(YouTube)や、Freddie Gibbs(フレディ・ギブス)の2018年の曲「2 Legit」(YouTube)でも採用されています。
そしてなんと、カニエ・ウェストまでもが、アルバム『The Life Of Pablo [Explicit]』(2016) の一曲で「ヨガフレーム」をサンプリングしていました!
次の曲の2:34頃に注目してください。
この曲では、ガイルの技「ソニックブーム」も使われています(「マネキブー」と聴こえる…)。
このように、ダルシムの「ヨガフレイム」は音楽界でも大人気です。HIPHOPの歴史的名盤に刻まれたことで、後世にわたって聴き継がれていくことでしょう。
久しぶりに聴いたダルシムの声が懐かしく、つい嬉しくなって記事にしてしまいました。
マッドヴィランは音の使い方がセンス抜群で面白く、流行にとらわれずカッコよくて斬新なので、未聴の方は是非聞いてみてください。
参考
・マッドヴィラン関連の名盤ランキング TOP5【HIPHOP】
・ラップ/ヒップホップ史上最高の名盤ランキング TOP 12